素敵な知らせ-父の油絵-

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見知らぬ着信No.
電話に出てみると
長野の親戚からだった。
父の生まれた土地の、
随分遠縁だけど
娘が保育園に上がった時、
父の軌跡を辿りたくて1人で旅に出た。
東京で叔父に会った時
いろいろ話して…
ずっと話して、最後にこう教えてくれた
〝源は一緒だからね〟
医師で、勤勉で、知識と知恵があって
父と似ている。
その足で長野へ、
善光寺付近の旅館に宿泊すると、
廻りの方々が妙に私に話しかけてくださって…
大丈夫、
私は〝生きるために旅をしてるから〟
松代にあるお墓に、御線香とお花を供えてご先祖様に手を合わせた。簡単には来れる場所ではない…だから私は、数個の綺麗な石をお墓の廻りの砂利に混ぜた。
なぜならこうすることで
いつでも繋がっていられる気がしたから。
住職は、私と同世代で気があった。
いろいろ知っていることや記憶にあるお話しをしてくれる、渋がない珍しい柿の木があって、父の納骨の時、まだ2歳ぐらいの息子と、甥っ子にご馳走してくれた。
懐かしい、
…かつて父から連れてきてもらった信濃路、親戚の御宅は信濃川にそってある、五右衛門風呂が懐かしい…
おばさんも、おじさんもとっても親切、〝ただ たち寄った〟だけの私に〝泊まっていって〟と…。
泊めて頂いた部屋に、
父が描いた油絵が飾ってあった。
私の実家には、
〝ビルマの竪琴〟を感じさせる大きな風景画の油絵があって、おそらく戦地での記憶を辿って後で描いたと思うのだけれど、
それは、全体がダークなグリーン色で高い椰子のような木が欝蒼と描かれている。
そういえば、
母の実家にも父の描いた油絵があって、それは、優しく、穏やかな田園の中に佇む田舎の家、小高い山々、棚田、草花。
親戚の私が休む部屋に飾られている静物画は父の大好きなウィスキーと果物の絵、
私は、父とは22年間しか過ごせなかったけど、たくさんのことを教えてくれた。
静物画は、私が生まれる遥か昔に描いたものだけど 私が小学生の時、このウィスキーをレディボーデンにちょっとだけたらして私にご馳走してくれた…
美味しかったな。
この父の絵がたまらなく欲しいと思った。
その時、
長野のおばさんは私に
〝この絵は◯◯さん(父の名)からもらっただよ。ていこちゃん、ごめんね!〟と先に言われてしまった、
でも、大切にしてくださる気持ちは尚のこと嬉しかったし、
何の準備も整えてこなかった私に浴衣や新しいものを用意してくれた、本当に嬉しかった。
朝、おじさんは
最寄り駅まで車で送ってくれ
ずっと手を振ってくれた。
本当に優しくて心が嬉しかった。
この時~約18年…
昨日、私の携帯が鳴った。
長野のおばさんからだった、
私に直接電話は珍しい…。
〝ていこちゃん、お父さんの絵、あげるように息子から言われただよ〟
〝いるかい?〟
即答、〝要ります!欲しいです!〟
お父さんの絵、
お父さんのスピリットに会いに行きます。
絵の中のウィスキーは、何ていう名前だったかな、果物は何だったかな。
〝花が咲く頃においでね、〟
そしてまた とりとめのない話しを
おばさんたちとしたいな。
長野のおばさん、皆さん、ありがとう。

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